「なんだ?あれ?」
利佳子が吐き捨てるように言う。

「ねらってるんじゃない?」
みゆきも言った。

関根にタッチした神田昭子を見た時に、ありえないほど心臓がチクっとした。

吐きそうになった…。
気持ち…悪い…。

関根と神田さん…付き合っちゃうのかな…。

利佳子と別れたみゆきはとぼとぼと歩いていた。


頑張れと言ってもらえた、
腕を引っ張ってもらって一緒に走った、

良い事だらけだった体育祭も、今ではなければよかったと思っていた。

体育祭がなければ、みんなに関根のかっこよさとか知られることはなかったのに…
あたしだけの…好きな人だったのに…。

自分の中にある関根に対する独占欲が大きくなっていく。

「坂下!!お前遅刻3回目だぞ!!今日は欠席扱いだからな!」

考え事をしていたせいでみゆきは教室移動が遅くなり授業に遅刻してしまった。
教室に入ったとたん先生に言われ、みんながみゆきを振り返った。

みゆきは「すいませーん」と小さく言いながら席についた。

関根と目が合ったけど、すぐに視線をそらしてしまった。
大きくなった関根に対する気持ち・独占欲で、好きだということを見透かされそうに思った。
目をそらしたしぐさはきっと、かなり大仰になっていただろう。

そして神田昭子の視線に気づいた。
遅れてきたみゆきに対してくすくすと笑っている。


遅れたのは神田!お前のせいだ!!!