背筋を伸ばしトラックを見据えながら、着ているTシャツで落ちた眼鏡を拭く関根。

「ちょ…何?微妙にかっこよさげ?

生意気~~。ホリスターのTシャツ着てるよ。」

利佳子が笑いながら言って隣のみゆきを振り返った。

みゆきは利佳子の言葉を聞いているものの、視線は関根に送られたまま。


クラスの陣地に戻った関根の周りには、
仲の良い男子や、正統派のかわいらしい女子が群がっている。

「…なの」

「え?何??」

利佳子が何か呟いたみゆきに聞き返す。
みゆきはまだ関根を見たままだった。

「利佳子、あたしね。

関根が好きなの…。」

「え?」
利佳子は未だに自分と視線を合わさないみゆきの視線を追って関根を見た。
「まじ?」

みゆきはやっと利佳子のほうを向いた。
「うん。まじ。

しかも…1年の…入学式の時からずっと。」

みゆきの告白を聞いて再び関根を見て利佳子は言った。
「…まじだ~。」
半笑いを浮かべて自分の手を額に当てた。