「坂下!!頑張れ!!!!」

関根!?

早回しで流れる周囲の景色の中に、ポツンと関根だけがきれいに映った。

一瞬だった。
みゆきはまた前を見て走り出した。
雑音のような応援に包まれて。


「おつかれ~~~~!!すごかったよ~」
ゴールで利佳子が待っていた。

みゆきは結局抜き返して3位でゴールした。

ねぎらいの言葉をかけてくれる利佳子にも何も応えられない。
息はまるで熱い風のようになり、鉄の味がする。

ただ、心臓だけは違った理由でも高鳴っていた。

関根が応援してくれた。
今日はもう2回も、頑張れと言ってくれた。

それだけで、みゆきは顔が笑ってしまいそうなほどだった。

緩む口をタオルで隠しながら、体全体で息をして、ゆっくりとトラックから離れるとみゆきはちょこんと座ってしまった。

「だいじょぶ?ポカリ、いる?」
利佳子の言葉にうなずく。

トラックを見ると、最後の競技100×4リレーが始まろうとしていた。

関根が出るって…言ってたやつだ。

タオルに隠れた口をちいさく
「関根…頑張って。」と動かしながら、みゆきは地べたに座りながらスタート地点の関根を見つめた。