100メートル…200メートル…
バトンが繋がっていく。

みゆきのクラスは4位だった。
3人目が走り出したので、みゆきはアンカーのたすきをかけてトラックに出た。

あ…一人抜いた…。

3位になった。
2位にも近づいている。
1位から3位までは僅差だ。

ドキンドキンドキン

走る自信なんてない…

でも…

ドキンドキンドキン

バトンがみゆきの左手に繋がった

がんばんなきゃ!がんばんなきゃ!

前を走る2人を追いながらみゆきは懸命に走った。


最後に真面目に走ったのはいつだったか?
高校に入学してからは真面目に走ったことなんかない。
マラソンの授業で学校の近くの絵画館前を走るときもあたしは抜け道を通って半分も走らなかった。

ハァハァハァ…
苦しい!!まだ半分…。

横を一人通りすぎた。
4位になってしまった。

抜かされないようにしていたのに…
もうやだ…ハァハァハァ

トラックを走りながら周りの応援がまるで走馬灯のように見えた。

「がんばれ~~!」
「キャーキャー」
「行け~~~!!!!」

応援もジェットコースターから聞こえる騒音のようだった。