プロローグ


「此処が、人間界か。相変わらず二酸化炭素だらけだ。
 人間なんて、二酸化炭素を吸って酸素を吐き出してればいいんだ。」
突如、その人影は現れた。しかし人々は気付きはしない。

「ったく。かったりぃーなぁ・・・。」

なぜならば、その人影は人々が歩いている場所よりもはるか上空に
いたからだ。
真っ黒な髪に黒が基本とされたカジュアルな服装。
どこまでも真っ黒で吸い込まれそうな瞳。
その姿と正反対で、背中には真っ白な羽。

まるで、童話に出てくる天使の様な・・・


俺様ドS天使現れる!

「悠!入学おめでとう!」

親友の小泉鳴瑠(コイズミ ナクル)が笑顔で手を振ってくる。
「鳴瑠も!おめでとう!これから宜しくね!同じクラスだし!」
私は神瀬悠(カミセ ユウ)。今日から、私立華山学園の一年生になる。
入学式とか卒業式とか、嫌いな人って結構いるけど私は好き。
だって滅多にないことじゃん?こういう、めずらしいことって私大好き。

「あぁ~・・・面白い事って無いかなー。」
「なにそれ。」
クスリと鳴瑠が笑う。鳴瑠はまつげが長く、地毛の栗色の髪の
先っちょがちょっと巻いていてとても可愛らしい。
スタイルもいいんだけど、性格がちょっと・・・

「あっ!刺激を求めてるならウチ来ない?
 面白いDVDを入手したんだよ?」
「やめとく。」
「じゃあ一緒に電車の連結部分見学行かない?」
「やめとく。」
「あそこに行くと、なんか体が高揚するんだよね。妄想のしがいがあるわ。」

それは、ニコッ。と美しい笑顔で言うことじゃないよ?
この前なんて芋虫の体の感触は女子の胸の感触に似てるとかなんとか
大演説をしてくれたし・・・鳴瑠はかわいいんだけど、
エロい。非常にエロい。健全すぎる。あ、私は普通だからね?

「私、今日は家でゆっくりする。」
「ゆっくり、する・・!?一人で!?えぇっ・・・!?」
「・・・。」
苦笑。
「じゃ、バイバイ。」
「バイバイ・・・売買・・・売り買い・・援交・・・!?」
もう無視だ。なんであんなにエロいんだろうな。可愛いのに。
その時、私はふと足を止めた。
「?」
目の前にヒラヒラと落ちてくる真っ白な羽・・・
なんだろう・・。


「羽?」

私は無意識に声に出して手を伸ばす。
とっても、綺麗・・・。

「・・・どこから落ちてきたんだろう。」

Q,こういうとき、貴方はどうしますか?
A,上を見る

「・・・。」
見なきゃ良かったという感情はなかった。
ただ、それを見たとき体が震えていたのには気付いた。
顔は自然と笑う。










だって






私の大好きな






__________非日常


「んしょ・・・。」
私はまだ着慣れない制服で木に登る。
人がいないのが幸いだ。だってスカートだもんね。

「あの・・・大丈夫ですか?」

私が上を見たら、真っ先に目に入った樹齢300年の大きな木。
結構名物だ。

その枝のところに

人が、

ひっかかってる?

いや、

寝てる?

なんで?

頭に疑問がたくさん浮かぶ。
でも、
面白い。
私は勿論すぐ木に登り、人に近付いた。

「ん・・・。」
その人はかったるそうに返事した後
また眠りに入ってしまった。

「・・・。」
改めて顔を見てみよう。そして気付いたコトを言うよ?

性別 男
容姿 超格好良い

以上。

「なんでこんなトコに人が寝てるの?」
私はその男の髪を撫でてみる。
・・・サラサラだぁ・・・
その手が耳に少しだけ触れると、
ビクッと男の体が震えた。

「ひぁっ・・・?」
私も条件的にビクッとなる。

でも男の人はまた寝てしまった。

私は髪の毛を引っ張ってみたり
頬をツンツンしてみたり。

んー・・・起きない。
私は耳を掴んでみる

すると男の人はパチッと目を覚ます。
「エロいとこ触ってんじゃねぇ・・・糞餓鬼・・・。」
「え?」
起きた?
あ、そうか、耳、苦手なんだぁ・・・

「ふぁ~・・・なんだ糞餓鬼。
 俺の安眠を邪魔しやがって。
 殺されたいのか?」
物凄くドスの利いた声で此方を振り向く。

・・・この人何言ってるの?

「なんでこんなトコで寝てんですか・・・。」



「なんだ?そんなん御前に言う筋合いはねぇ。
 それともなんだ?コレは御前の木か?」

「そ、そういう訳じゃないけど・・・。」
「じゃ、失せろ。うぜぇ。」
プイッと後ろを向く。

な、何コイツ、ムカつくッ・・・

「じゃ、じゃあこの木は貴方のなの!?」
思わず声が大きくなってしまう。
男の人はちょっとビックリしたように目を見開いてる。

「自分の木でもないのに失せろなんて
 よく言えるな!」

男の人は固まってる。ふふふ。私の本気を
見て、ビクったのか?
「・・・めぇ・・・。」
あ、なんかヤバい雰囲気・・・。

「な、なんだよっ・・・。」
「落ちるぞ。」
「えっ?わぁひゃっ!!??」
いきなり言われたので若干重心が後ろに下がった。

バキ

と良い音。

あ、落ちる。

「くっ・・・。」
落ちたくない一心で、その場の物をすぐに掴む。
「は?」
男の声が聞こえたのと落ちるのは同時
「落ち・・!?」
「てめっ・・・離っ・・・。」
空中で思いっきりもがく。しかしそんな行為は虚しく
一秒もしないで地面に落ちる。

ドン

と小気味良い音。でもあれ?痛くない?
「・・・ってぇ・・・。」
下にいるのはさっきの男の人私はそれに馬乗りになってる。
「ひゃっ!!!??!?!?!?」
「ゴ、ゴメ・・・。」
謝ろうとした私は息を呑む。
待てよ?本当に私が悪いのか?
いや、悪いんだろうケド、

目の前で腰を誘ってる男一名。
此処は、バーカとでも言っておくべきか?
よし、そーしよう。

「バー・・・。」
「殺すぞ。」
男は物凄い速さでおなかに乗ってる私を
ラリアットのように押し倒し、
男が私を押し倒したような格好になった

「あ、えと・・・。」
「調子に乗んなよ糞餓鬼。」

いやいやいや、初対面の
名前も知らない男の人に押し倒されてるよ?

「えーと・・・。」
「それなりにお礼してもらおうか?
 なんせ道連れにされたしな・・・。」
「お礼って・・・。」

私の手は男の片手で押さえつけられる
足は男の足が入って開脚してる。

この状況・・・ヤバくね?