「きゃっ」
「風、強いな。」
「そうだね…」

整った顔。
長身で、結構がっちりした体。
風に揺られる焦げ茶色の髪の毛。
こんなに近くにいるのにすごく遠くに感じる。
幸人の全てが愛しくて…


「よしッ!」
「?」
「絶対日曜日空けとけよ。」
「うん!」
「じゃあ俺昼寝するから。」

と言って幸人は自分の部屋に戻った。
あたしは何となくもう少しここにいたくて・・・
置いてある椅子に座って、桜が舞う青空を見上げていた。
















プルルルル…





「電話だ。」

電話がなる音が聞こえてリビングに向かった。





「はい。もしもし神埼です。」
『彩華?お母さんよ。』
「お母さん・・・」
『入学おめでとう。』
「ありがとう。」
『今、出張でロスにいるからいつ日本に帰れるかわからないけど
体調に気をつけてね。』
「うん、わかった。
仕事頑張ってね。」
『ありがとう。じゃあ、またね。』




電話はそのまま切れた。


お母さん、この前ニューヨークにいるって言ってたのに、
大変そうだな・・・。

お父さんも地方に単身赴任中だし、
あたしは一人っ子だから…
この家には今
あたししかいない。

でも、小6の頃からこうだから
もう慣れた!!
それに隣には幸人がいるし。
北村家のみんなもあたしの優しくしてくれる。