ガラガラ

「!!」

アタシが自分の部屋に入ろうとした時、隣の家の窓が開いた。


「ゆ、幸人!」
「彩華…」

偶然…

「今日、仕事は??」
「佐々木さんが入学式だから休みにしてくれた。」

佐々木さんは幸人の専属のマネージャーさん。
20代くらいの結構カッコよくて
優しい人。

「幸人が休みなんて珍しいね。」
先月なんか3回しか休みなかったし…

「そうか??
でも、今月は多分ゆっくりできると思う。」
「そっか。」

幸人が「今日は休み。」って言うと
ちょっとだけ嬉しくなる自分がいる。
仕事をしてほしくない訳じゃない。
逆に、幸人がやりたいと思ってやってる事だから
誰よりも応援してる。
でもね、こうして隣で…
こんなに近くで幸人の事見てると、すごく苦しくなる。
幸人を自分だけのものにしたい!!
って…
そんなことできるわけ無いけど。

「彩華、来週の日曜日って暇??」
「日曜日?暇だよ。」
「そか、じゃあその日予定いれんなよ。」
そう言って幸人が微笑んだ。

「うん…」

なんか、一瞬遠くにいるみたいに感じた。

「どうした??」
「えっ何が?」
「今、悲しそうな顔したから。」

そんな顔したかな…?




ブワッ




いきなり強い風が吹いて、桜が一気に舞った。