「無理に忘れようとするな。

忘れようなんて思ってる内は何したって、どんだけ足掻いたって忘れられねぇんだから。

それに…そんなことしたって余計好きになるだけだ」


なんとなく寂しそうな、でもどこか非難めいた店長の声が車内に響いた。


もしかしたら…店長と私は似た者同士なのかも。


店長も私みたいに死ぬほど忘れたい人がいるのかな?


もしかしたら今も尚、忘れたい人が…?


だって、店長の言葉のひとつひとつに重さを感じる。


出会いと人の集まりを求めてコンパに行くようになってからいろんな子たちと仲良くなった。


でもみんな口を揃えてこう言う。


『大丈夫、大丈夫!
元カレとかすぐ忘れられるって!』


『次の恋みつけたらすぐ忘れちゃうよ!』


『元カレよりレベル高い男探さなきゃね!』