食卓のイスを持ってきて、よじ登った天袋の奥で見つけた埃だらけで黄ばんだ長方形の箱。


お母さんの字で『飛鳥・夏物<浴衣>』って書いてある箱を見つけた。


その瞬間、その箱はまるで長い旅路の果てにようやく見つけた宝物のように思えて、ワクワクと胸を弾ませキラキラと目を輝かせて喜んだ。


だけど…。

中から出てきたそれは……。

白地に朝顔がいっぱい描かれてるその浴衣は……。


確かに私の浴衣なんだけど、お母さんを巻き込んでまで探したかつては喜んで着ていた私の浴衣なんだけど…!


だけどこんなの嫌だっ!

こんな子供っぽい浴衣、絶対嫌っ!着たくないっ!!


頬を膨らませプイッとそっぽを向くとお母さんが怒った。


「飛鳥っ!

こんなに散らかしといて何が『嫌っ!』よ!」