「陸久は千春ちゃんに友達ができるの、うれしくねぇの?」


そりゃあ、うれしいけど…。

千春のあんな不安そうな顔を見たら、心配だし。


「千春ちゃんを陸久の独り占めって訳にはいかないの!」

「……」


そうだよな…。





千春だって、みんなと同じように友達と話したり遊んだりしてぇよな。


「友里は千春ちゃんと、仲良くしてくれるよ」

「そうだな…」

「ってことで、俺らは適当に遊ぶか!」

「拓也と遊びたくねぇ…」


拓也も彼女と付き合い始めて、少し変わった気がする。





かなり溺愛してっからな…。

それは見てて分かる。

拓也が千春のことを考えてくれたりしてたのはありがたい。

いろいろ文句言ってるけど、実は拓也に感謝してる。

…言葉には絶対出さねぇけど。

そんなことを思いながら、俺は拓也の隣を歩いた。





陸久と初デートのはずだったのに…。

何でこんなことに?


「ごめんね、千春ちゃん。急にこんなことになって…」


拓也くんと拓也くんの彼女の友里ちゃん。

2人と合流することになったんだけど、陸久と拓也くんが2人でどっか行っちゃって…。

あたしは友里ちゃんと2人きり。





友里ちゃんとは同じクラスなんだけど、話したことなんてなくて…。

何を話したらいいのか全然分かんないよ。


「とりあえず、そこで話さない?」

「あ、うん…」


友里ちゃんが指さしたベンチ。

そこに座って話すことに…。





「あたし、千春ちゃんって怖い子なのかなって思ってたんだ」

「え?」


怖い…。

あたし、周りからそんなふうに思われてるんだ。


「でも、陸久くんと付き合い始めてから笑ったりする子なんだなって思って印象変わったの。それで話してみたいって」





そっか。

友里ちゃんみたいに思ってくれる人もいるんだね…。


「だから、今日は千春ちゃんと話せてうれしい!」

「友里ちゃん…」

「これからは学校でも話しかけるから!」


あたしもうれしい…。

涙出ちゃいそう。





「ねぇねぇ、どっちから告白したの!?」

「え!?」


それからは友里ちゃんと恋バナ。

こういうの何もかもが初めてだから新鮮…。


「陸久くんから!?でも意外に千春ちゃんから?」

「り、陸久からだよ…」

「何て言われたの?」





「それは秘密っ!」


恥ずかしいもん。

思い出すだけで顔が赤くなっちゃいそう…。


「友里ちゃんは?どっちから告白したの…?」

「もちろん、拓也からだよ♪」


そして友里ちゃんは、拓也くんと付き合うまでの話をしてくれた。