浬がタキシードに着替えを
済ませ、来客の皆様
一人一人に頭を下げて
周っていた頃

藍は、涙でくずれた化粧
を直していた。

「アイ、良かったね」

「本当に良かったわ」

母、秘色と茅野ママの声に
藍は鏡越しに微笑んだ。

「本当に
 すみませんでした」

藍の父親、芳野、伊吹、飛鳥
の前で、頭を下げる浬。

「もう、二度とアイを
 悲しませたりしないと
 今ここで私たちに誓って
 くれるのなら
 今回だけは君を許す

 しかし
 次は無いと思ってくれ」

芳野の言葉・・・

「何かあれば、アイは
 すぐに連れて帰る
 アイには帰る場所は
 たくさんある」

伊吹の言葉、飛鳥の表情を
深く受け止めた浬は頭を下げた