並んで歩く男達の合間を
抜けて、コツコツと足音を
響かせて歩く。

赤色

12CMピンヒール・・・

男達は振り返る。

彼女は、携帯電話をかけ
立ち止まり見上げる。

そう、見上げた広告塔には
永遠のライバルの姿が写る。

右腕に漆黒の龍

その男のしなやかな腕が
瞼を閉じる彼女の横顔
左頬へと伸び、その手が触れる

狂おしい・・・

白黒の世界に浮かび上がる
鮮やかな桜色の唇・・・

刺青に降る
ピンク色の桜・・・

『この春
 痺れる口づけ
 体感してみる?』

彼女は、美しい・・・

「ねえ、アイ
 私のこと
 忘れてないよね?」