「じゃあ、行こうか」
一旦立ち止まっていた足を、
再びトンネルの向こうへと、動かす。
……思い出してきた。
僕は、幽霊やなんやの、
オカルト現象が、とても苦手だった。
理由は、僕がいわゆる霊感体質で、
周りの、姉さんや幼馴染が、
面白がって進んで巻き込んで行くからだ。
それで、ある日の事だ。
噂は聞くけれど、誰も居なくなった事など無い異次元トンネル。
大丈夫だと、思ったから。
ただ、向こうに出るだけだと思ったから、
僕はそこを通ったんだ。
そんな噂、嘘だと証明しようと。
滅多にいないであろうバカは、
本当は僕だったんだ。