「さて、あと20分を切りました!」
いつも通り楽しげな菜月ちゃんだけど、
今日はちょっと寂しげだ。
「もしかしたら、
今日がお別れかもしれませんよね」
そう言って、留衣さんを見つめている。
「もし、帰れたとしたら、だけどね」
「はい!そうでも私、
お姉さまの事一生忘れませんから!」
「ありがとう。
こっちの私に会ったとしても、
よろしくしてあげてね」
「はい!」
……僕は、どうでもいいのでしょうか。
「要君、俺も君が無事に帰れるといいなと
思ってるからね……でも寂しくなるな」
「……ありがとうございます」
こっちはこっちで、
しんみりとした空気を醸し出されている。
「まあ!帰れる保障なんて
どこにも無いですからね!」
楽しんでいきましょう!と、
やたらハイテンションな亮太郎が
この場の空気をぶち壊す。
コイツは絶対僕に帰って欲しがっている。
僕も帰りたいから、別にいいんだけど。