「帰ったら記憶無いかもだし、
 そもそも帰れる保障も無いけどね!」

きわめて明るく、彼女は言った。


「記憶、無くなるんですかね?」

「わかんないけど、
 こっちに来た時と同じなら、
 無くなってるはずだよ。
 もしかしたらその内思い出すけど」


帰った事は無いからわかんなーい。と、
やっぱり彼女は笑っている。


「留衣さんは、帰れなければまあ
 それはそれでいいけどねって、
 こっちの世界を楽しんでるから」

亮太郎の補足だ。

……なるほど。


「まあ、帰れれば嬉しいのは同じだよ」


そう言って、また笑った。