「要君、幼馴染いるんだー」

留衣さんが食いついた。

「あ、はい。
 向かいの家に」

「向かいに家は無いだろ?」

そういえばそうだ。

「引越したんだったかな?」

「曖昧だねえ……どんな子だったの?」

留衣さんがキラキラした目で尋ねた。
あれか、可愛い子だったら写真見せて!か


「えーっと……」

思い出そうとしてみるけど、
名前はおろか、顔さえも浮かばない。

その事を言うと

「どんだけ影の薄い奴か
 忘れっぽいんだよ?!」

頭を軽く叩かれた。

そして、また変な顔をする亮太郎。
なんなんだよ、本当に。

「言いたい事があるならはっきり言えよ」

「……別に」

なんなんだよ。

なんでそんな顔するんだ。

……まあ、別にどうでもいいか。

さらにどうでもいいけど、
最近‘どうでもいい’って
思ってばっかだな、僕。