「ところで、啓吾さんは何してたんですか?」
亮太郎が尋ねる。
見たところ、この家には
今、他に誰も居ないみたいだ。
「掃除だよ。って言っても、
元からそう、散らかってないけどね」
「わざわざ掃除しに来たんですか?」
「掃除ついでに
晩御飯も食べていこうかなーって」
まあ、そっちが本当の目的なんだけどね
と、笑って言う。
「要君には言ってなかったっけ?
俺、高校から1人暮らししててさ、
よく榎本家にご飯食べに来るんだよー」
話を聞くと、
菜月ちゃんの引越し前は
もっと家が近くにあって、
今は3駅分ほど離れてしまったらしい。
「啓吾さんって、綺麗好きなんですね!」
「今はね、前は逆に散らかり放題しててさ
もうゴミ屋敷って感じだったよ」
「マジですか」
そして、啓吾さんの思い出話が始まった。