翠はそれから一度も目を
合わせずに出て行って
しまった。


「若。
翠のやつ、大丈夫ですかね?」

「…大丈夫。
これが正しい選択だ」


そう。
正しい選択なんだと
思っていた。


あんな事件が起こる
までは。