正直、今わたしは何がしたいのかわからない。 会社帰り、わたしの──いやわたしたちの事情を知っている優しい人たちのさりげない誘いも、腕で大きく“×”をつくって笑いながら断った。 「はぁ…」 自分の家までどうやってたどりついたのかは覚えていない。 タクシーを使ったのかもしれない。 徒歩だったのかも。 ──バサッ…