戦乱の世。
「あー…帰りたい帰りたい帰りたい」
「うるさいぞ、新」
「足痛い足痛い足痛い」
戦国大名の暮らす城の門を守る護衛の者が2人。
そのうちのひとりの名を、新―― あらたと言った。
無邪気・無鉄砲・無計画。本能で生きているような男だ。
「そういえば新、知ってるか?」
「なにを?」
「姫のうわさ」
「ひめー?興味ないね」
もう一方、悠馬―― ゆうまは頭の切れる男だった。
きりりと男前の悠馬に想いを寄せる女性は多いようだが、悠馬は特定の女を作らなかった。
一方で新はと言えば、今も目の前を通る女たちにへらへらしながら手を振っているような、能天気な奴だ。