「え、」

一瞬にして思考が真っ白になる、だが避けてしまえば少女は固い地面とめでたく同化する。
自殺を図った少女を見殺し、だなんていう朝刊の見出しが出てしまってはごめんだ。僕は潔く、彼女を抱き留める決意をした。


少女の身体が僕に吸い寄せられていく。重力に従って落下していくそれを僕は必死に抱き留めた。


「――いッ!!!」
予想していたよりも遥かに重みを感じて尻餅をつく。少女は僕の上に転がった。


「けほっ………ナイスキャッチです。」
「き、君ね……」
何したかったんだと睨むように少女を見る。そして僕はある事実に気付くのだ。

――落ちてきた少女は二人いた。