―――議長の部屋

俺は補佐の中川に許可を貰った。

部屋に入ると、議長は書類を読んでいた。


「お久しぶりです」


俺は議長に挨拶した。


「ウルフから会いに来るとは珍しいな。
何のようだ」


議長は書類を読み終えたのか、机に置いてあった印鑑を取り、押した。


「『Infinite Information』の調査で得た動画データの閲覧許可を頂きに来ました」

「なぜ、閲覧したい」


議長は作業を終えたのか、俺の方を見た。


「『G』が何の目的でE社の西条ヨウを拉致したのかはわかりません。
私は理由を知りたいためです」

「それなら、私自身に聞けば良いだろう。
コソコソ動くとはお前らしくもないな」

「下調べです。尋ねる前に私は『Infinite Information』について何も知らない。
その状態で聞くのは失礼だと感じたためです」

「確かに下調べしなければ、動画のことを尋ねるはずがないな」

「それでは………」

「許可はしない」

「どうしてですか」

「物事には話していい情報と話してはならない情報がある。
今回のケースは後者だ」


これ以上、話しても議長は話さないだろう。

だが、ここまで来た以上、無駄なことはしたくなかった。


「議長、一つお尋ねしても宜しいでしょうか」


議長は頷いた。


「私の情報で『Infinite Information』には『世界からの出方』の情報があると聞きました」


議長は目を細くした。


「それは本当でしょうか」

「黙れ」


議長は怒鳴った。


「わかりました。
私の聞きたかったことは以上です」


俺は一礼して部屋を出た。