裏切りの少年

「それじゃ、なんで………」

「我々が『W』を設立した目的は世界のバランスを理想の状態にするためだ」

「理想の状態………」

「そう。
当初、我々は『才能』と『勉学』のバランスを均等にするはずだった。
しかし、『神』と『G』により、『才能』中心の世界になった。
だから、我々は『勉学』の理想の状態に戻そうとした」

「それが『W』か………」

「そうだ。
私は君の事をよく知っている。
なぜなら、『G』には我々の仲間が潜入している。
君が私を殺してから、『W』内に『G』の裏切り者がいると言い、捕まえるように議長とやらに言ったそうだね。
こちらとしてはありがたかったよ。
我々は『W』を設立した時点で『W』を仮想世界の住人に渡す予定だったが、その前に潰されては意味がないからね」

「そうか」


俺は敵意を込めて、答えた。


「だが、俺が思うに『W』は貴方の理想とする組織には思えないが………」


『G』と戦い、世界を混乱させている『W』。
そして、『W』五代目総長………
どう見ても、金本のいう『勉学』を成長させるために活動しているようには思えない。


「『W』は今の状態で良い」


金本は言った。
俺は笑みを浮かべた。

「貴方は知らないだろ。
今の『W』総長を………
奴はバケモノだ」

「知っているよ。
なぜなら、彼を作らせたのは私なのだから………」

「はっ………」


俺は驚いた。

「君も話ぐらいは聞いたことがあるだろ。
『W』に所属する者は、必ず『Infinite Information』を一度攻略する規則があることを………」

「ああ」

「あれは私が『W』三代目総長に指示したからだ。
その代わり、『絶対的な戦力』を与えると約束した。
私は『W』三代目総長に井上博士を紹介してもらい、
『超越者』を作る資料を彼に渡した」