それでも必ず……。

必ず芽生えの春は訪れる。

雪の大地から芽を伸ばし、やがて淡い紅色の花を咲かせる。




それは、






雪割草という花……。


 シローは必ず探しに来ると心に誓った。

遠くに安達太良山を望むこの丘に……。

自分の命が尽きるまで……。



ふと我に帰ると、いつしか足下には雪が積もっていた……。

美枝子の姿も雪の中に閉じ込められていた……。

シローは立ち竦みながら、白銀の世界に呼びかけていた。



美枝子……。




美枝子……。



 それは、



小さな世界の物語。




       完