「・・・不安?何が不安なの?」
紗雪の顔をまっすぐと見た梓紗は驚いた。
いつも笑顔だったあの紗雪が、
泣いていたのだ。
「みんなに忘れられてしまうことが。」
紗雪は、そう思う理由を話してくれた。
梓紗がいること。
紗雪はいらない存在だってこと。
紗雪が皆を縛り付けてること。
黙って聞いていた梓紗は、一気に思っていたことをはいた。
「あたしがいるから、紗雪がいらない?
違う。紗雪がいたから今のあたしが在る。
紗雪はいらない存在?
違う。みんな心の中で生きてる。
紗雪が皆を縛り付けてる?
違う。紗雪のコトを糧にみんな生きてるの。
だから、そんなこと二度と言わないで。」