「え…?」



夏美は、呆然と立ち尽くした。



「好きなんだ。鍬原さんのことが。」




冬彦は、今度は、はっきりと言った。












数分間の沈黙の後、夏美が口を開いた。






「どうして?」






冬彦は、なぜか、その声が怒っているような気がした。






「どうしてって…」




夏美の意外な回答に、しどろもどろになって冬彦は話した。





「あたしが死んじゃうから?」



「え?」



死んじゃうから?……どういう意味なんだろ?





冬彦は完全にわからなくなった。




夏美は少し泣きそうになって、続けた。



「あたしが可哀想だから?あたしが病気だから?……そんな、同情からの告白なんて…いらないよっ!」





同情…




冬彦は、やっと、なぜ夏美が泣きそうな顔をしているのか理解した。