放課後、あの時と同じように誰もいなくなった教室で、冬彦と夏美が向かい合っていた。







「も~。みんなの前であんな風に、言わないでよ。チョ~恥ずかしかった!」



「ゴ、ゴメン。」



「それで?何の用なの?」


「え?」



夏美は、本当にわからないといった顔をしていた。



だが、冬彦は緊張した面もちだった。



「ちょっと。どうしたの?高椿君。大丈夫?」



夏美は、冬彦を心配そうに見た。



冬彦は、二、三回、深呼吸をすると、まっすぐに夏美を見た。







夏美は、少し驚いた顔で、固まっていた。








冬彦は生唾を飲み、まるで教室中の空気をすべて吸い込むかのように、深く息を吸い込むと、声を絞り出した。










「好きなんだ…鍬原さんのこと…」