翌日、冬彦は学校に遅刻した。




担任である長谷川や透、夏美が心配したが、冬彦は適当に誤魔化した。







「いや~ほんと、ビックリだったぜ。フユピコが遅刻するなんてさ…」


昼休みになって、弁当を食べ終えた透が、冬彦に話し掛けた。




「透、止めてよ。僕もしたくて、したんじゃないんだし。」


「悪い。だけど、初めてだったからさ。ところで、次の数学…」




透の話を聞き流して、冬彦は透の肩越しに見える夏美を見ていた。




夏美は、クラスメートと楽しそうに何やら話している。



「…が……なんだけ……ね?…い、お~い……」



透の声をBGMにして冬彦は夏美を見続けていたが、




「おいっ!フユピコォ!聞いてんの?」




透の顔がぬっと現れ、冬彦の視界をふさいでしまった。