「幸せって、なんでしょうね」
バイト中の俺は、一緒に働く社員の中垣さんになんとなく、尋ねた。
俺よりも、4つ年上な中垣さんは、みんなが慕う、兄貴分。
「知らないな。幸せの定義なんて、人それぞれだからな」
やっぱり、そうだよな。
返却boxに入っているDVD達の返却処理をしながら、考えてみる。
答えは、見つかりそうにない。
バーコードを順に打つ作業も、慣れたものだ。
「海、それ終わったら、上がっていいぞ。」
中垣さんが、俺の肩に手を置く。
「お疲れさまです」
早く、帰ろう。
レイが、待ってる。
そう思うと、自然に足取りは軽くなる。