「カイ……?」
気がつくと、嫌なことを思い出していた俺を、レイが不思議そうに見つめていた。
片手で、レイを抱き寄せ、俺の上に乗せる。
軽すぎるほどのレイの体重が、心地よい。
「俺は、たった一人の女も幸せにはできなかった」
レイの頭を撫で、その頭にキスをする。
「だから、自信がないんだ。幸せってどういうことか」
今度は、首筋に吸い付き、紅い印を残す。
「あ……」
少し身をよじるレイの唇を、奪う。
俺は、寂しかったんだ。
こんなこと言ったら、君は笑うだろうけど。
レイの心の拠り所、なんて本当は言い訳でしかなくて。
俺は、自分の寂しさを埋める何かが欲しかった。
俺は弱虫だから、
たぶんそれは、君じゃなくてもよかったんだ、
なんて、自分が傷付かないように、最低な言い訳をしてみるんだ。
そんなこと、無意味だってことは、とっくに気付いていたのに。