「優先順位が変わっただけのことよ。あなたにとって、学校やバイトが大事なように、わたしだってあなたより大事なものができた。わかって、くれるでしょう?今まで、ありがとう」


まるで小さなこどもに言い聞かせるかのようなその声に、俺は何も言い返せなかった。


それから、夜行バスに乗って帰って行く歩美の姿を見送った。


ポケットの中の小さな箱についたラッピングの鈴が、無情にも、チリン、と鳴った。