それからの俺達は、とても穏やかだったと思う。

春が来て、高校3年生になり、夏を過ごし、再び、冬を迎えた。



歩美と過ごす時間は、とても楽しくて、普通で平凡な俺にとって、奇跡のような幸せだった。

まぁ、そう思っていたのは俺だけだったのかもしれない。

今となっては何が、原因で、何が悪かったのか、よくわからない。

ただひとつ言えることは、別れというものは、ある日突然、やって来る、というもの。



高校を卒業し、俺達はいわゆる、遠距離恋愛になった。

第一希望の受験に失敗した俺は、県外の大学で経済学を学ぶことになり、一人暮らしを始めた。

歩美は、県内の国公立大学で教育を勉強し始めた。



そして、俺達の、微妙な歯車が、狂い始めた。