「レイも今、夏休み中か?」
いつの間にかあたしの頭を腕に乗せて、あなたが問う。
本当に、どこまでも優しいんだね。
「あたしは、永遠に夏休みみたいなものかな」
「どういう意味だ、高校は?2月で18歳、ということは高校3年生じゃないのか」
「高校は、義務教育じゃないから。行くも、行かないも、自由でしょ」
くるりと、あなたに背を向ける。
あなたは、とても真面目で、正直な人だから、考えてることがすぐ、顔に出る。
だからあたしは、あなたに背を向ける。
あなたの感情を、読まなくて済むように。
あたしの感情を、読み取られないように。
あたし達の間に、感情なんて、いらない、と信じるために。