どうやら驚いているのは俺だけではないようで、ソファーで寝転んでいた巧さんは、飛び起きた。
そして、その穏やかな表情がこわばっていくのが見えた。
「君は、ここに来て、どうしたいの?」
口を開いて出たその言葉は、俺が予想もしてなかった言葉だった。
「どうって……、ただ、会いたくて……」
思わずそう言っていた。
「ただ会いたくて、って。君は伶良の病気のことを知ってるの?」
穏やかな口調は変わらず、問いかけられる。
「……レイラ?」
彼の口から出た名前。それは俺が一度も耳にしたことはない名前だった。
そうか。
レイラというのがレイの本当の名前なんだな。
そう、すぐに考えた。