あたしが8歳になった時、巧は両親と同じ道に進むために大学の医学部に入学した。


「伶良の病気は、俺が治してあげるね」

会う度にそう言う巧が、あたしの主治医になったのは、去年のことだった。


入退院を繰り返す、あたしの唯一の友達とそのお兄ちゃんは、誰よりもあたしのことを知ってると思う。



いつも、どんな時も穏やかな顔をしている巧。

その巧が、神妙な顔で、あたしとお姉ちゃんの前に座っていた。