目の前で思い悩む俺に呆れかえったのかもしれない。


「とりあえず、あそこまで着いてきてよ。レイは、あそこに居るよ」

そう促され、男の指す方を見た。


ひときわ目立つ、高い建物。



「……南波総合病院……」

掲げられた看板を読み上げる。


「どういうことだ」

確かにこいつはレイが自分の家に居ると言ったはずだ。



「嘘、吐いていたのか?お前の家じゃないのか?」

「まさか。だから、うちだって。俺は、あそこの院長の次男坊」