汗をかいて、息を切らして時計台の下まで向かった俺を、すらっと背の高い、無駄に胡散臭そうな男前が、ひらひらと手を降って待っていた。


「お疲れさま。意外と早かったね」


「生憎だが、お前と世間話をするつもりはない」



俺が知らないレイを、目の前のこの男は知っている。

それだけで、嫉妬するには十分な理由だった。



「…あらら。随分と嫌われてるんだね、僕って。まぁ、いいや。レイから、聞いたことあるかもしれないけど。南波 和泉です。よろしくね、カイ君」


「……4歳のときに出逢ったっていう……」



この男の話は、レイと一度だけしたことがあった。

あえて二人の関係に名前を付けるとしたら幼なじみ、というのが正しいかもしれない。