オーバーなリアクションをしてると岸谷先輩は苦笑しながら、

「うん。別にいらない。」

そう言うと近くにあった机に座ってしまった。

「駄目ですよっ！ちゃんとご飯食べて栄養つけないと！」

ズイッと近づいて岸谷先輩を見つめてると岸谷先輩は少し驚いたように目を丸くしてから、プッと吹き出す。

「お母さんみたいなこと言うねぇ。」

クックックッて言いながら顔をしわくちゃにして笑ってる。

私はその不意打ちの笑顔にドキッとしてしまう。

「そんなこと言ってくれる人なんていなかったからねぇ・・・」

ボソッとつぶやかれた言葉に、

「え？」

思わず聞き返すと、

「ん～ん。何でもない。じゃあ、なんか食べよっかな。」

フッとまた笑顔に戻った岸谷先輩は机から軽やかに飛び降りると販売機の方に歩いて行く。

「・・・？」

「真奈ちゃん？頼まないの？」

ボ～っとしていたのか中村先輩が不思議そうに顔を覗き込んできた。

その手にはお盆の上に乗ったカレー。

「あっ、私も頼まなくちゃっ！」

日替わりランチは人気だからすぐ売り切れちゃうんだよねっ！

そんな私の頭にはもう岸谷先輩の様子のことは残ってなかった。