「み・づ・き・せ・ん・ぱ・い」


早苗があたしの
耳元で囁いた。
早苗がにやついてたのは
この事か…。


「なによ~!」

美月先輩の名前で一気に
顔が赤くなるのがわかった。


「あらあら。
お顔が真っ赤ですよ?
お嬢さん♪」


早苗は,美月先輩を見ると
いっつもからかってくる。


「うるさいな~!もう」


「そんな事言って,
今日の朝もラブラブに
登校してたじゃん?」


「え!?見てたの!?」


まさか,
見られてたなんて…。


「見られてたも何も,
目立ってたからね。うん」


「はぁ!!?目立ってた!?」


目立つことに
苦手なあたしは,
新学期早々
やってしまったなと思った。


「うん。だって,正直
美月先輩人気あるし
優美だって
目立つししょうがない!」



…………しらなかった。
確かに美月先輩は
かっこいい。
誰が見てもかっこいい…。
でも人気があったなんて…。


「ちょっとちょっと?
ゆみさんでも,
油断してたら誰かに
取られちゃうよ?」


ガーン…。


「そんなの絶対に嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」


ざわっ。


やばっ!
廊下で叫んじゃった。
視線が痛い…。


「ごめんなさあああい!」


あたしは
早苗の手を引っ張って
自分たちの教室へ戻った。