「でも…あたしは…」



「“美月先輩が好きだから”
とか言うんでしょ。
わかってる!
でも俺
諦めないからさ!」



「ふぇ!?」



諦めない…?


「とりあえず,
暗くなったし送るわ」


佐藤くんは,
いつもの笑顔で言った。




何を話せば良いのか
わからなかったけど,
佐藤くんは
いつものように
他愛のない話を
してくれて,
全然気まずくなかった。



家まで着いたとき。
佐藤くんはポケットから
携帯を出した。



「優美ちゃん,
アドレス教えて
もらって良い?」



「うん!赤外線で送るね」



あたしはそう言って
携帯を出して
佐藤くんの携帯に
アドレスを送った。


「あんま,
色々ため込むなよ。
俺で良かったら
何でも聞くし♪」


「うん!
今日はありがとう。
じゃ,ばいばい!」


佐藤くんって
なんであんなに
優しいのかな?


その優しさが
嬉しくもあり
なんだか切なくもあった。