薄暗い空。

カビの様な蒸した匂い。

雨だ。


『お前…一人か?

…いや、私としては何でも良いんだが、

その、全てを諦めた様な、

この世で自分が一番可哀想、

みたいな目が何と言うか…

勘に障ってな…』


…知るか、そんなの。

こっちの気持ちも知らないクセに。

だいたい、何が悲しくて初対面の奴に

そんなに嫌われなきゃいけないんだ。

つか、何故目の前のコイツは

こんなに愉しそうに笑って…――


ジリリリリリリリ…!!!!

…ガバァッッ…バンッッ!!


「っんだよ、夢か。

つか、初対面じゃねーよ!?

夢の中の雫(オレ)は阿呆か?

…ぁあ゙ん…?」

たった今、壊すような勢いで止めた

時計の針が示すのは

自分がセットしてあるより前だ。

しかも、それは未だ音を上げている。

いつもより、激しく、強く。

「…緊急…警報……。」

瞬間、主人の帰りに気付いた犬の如く

部屋を飛び出す。

雫がロビーに駆けつけると

細身で長身の男と

闘っている朔夜が目に入った。

だが、見回しても他の敵らしき者は居らず

目に入るのは他のB・Bのメンバーが

悉く失神している姿だけだった。