その横顔は、少しの憂いが見えるが

それに気付く者はいない。

翠霞は気付かないフリをしている。


…――音もなく近付き

その存在を確認する時には

『全ての終わり』

という絶望が見える様な存在。

もっと言えば、

気付かぬ内に迷い込み

その次には全てが

リセット、または、壊され、

『次の未来』

という光が見える。

まるで、闇のようだ。

そんなB・Bの中で

“闇”と呼ばれる少女は

何処か掴めず、

心の中を察することを許さない。

過去や未来に囚われず

今だけを見詰め

堅い意思の元に自分を突き動かさせる力。

その読め無さや、

周りの考えに深入りどころか

見ようとさえしない不思議な魅力に

多くの者が“闇”へと身を投じる。


―――……空気の不味さを感じた翠霞は

自室に戻ろうと、廊下をゆっくりと歩く。

ふ、と朔夜の部屋に目を向けると

小さく呟いた。

「…闇、か…。

B・B自体が闇って言われてるのに

その中で闇と呼ばれてるなんてね…

通った後に何も残さない感じといい、

その存在の大きさといい…

なんだか闇と言うより、

ブラックホール

…なーんて読んだ方が良さそうだ…。」