「主人」となった者に言われれば

たとえ故郷でも潰す。

彼女の強さは底のない闇。

その暗さは、雫にとって

何処か心落ち着くものがあった。



「お…オイ!!あの漆黒の布地に赤ライン…

あの詰襟は、ぶッ、BLACK BLOOD

じゃあないのかっ!?」

「煩い、さっさと殺せェ!

撃て!兎に角撃つんだ!!

BLACK BLOODなんて

只の伝説だろ!!」

ライフル銃が二人の居る場所を追うようにして降り注ぐ。

朔夜はクツクツと喉を鳴らして笑い、

呟いた。


「残念でした。B・Bは…」

「存在する。」

ニヤリと笑う彼女を見て、

雫は、こうなっては止めようがない、と

小さく溜め息を吐いて

岩の陰に隠れるようにして座った。

朔夜は何度かバック転をして体勢を立て直すと

何処か二丁の銃を取り出すと

自分を狙うものを的確に仕留めていく。

遠距離からの攻撃が無くなると

大量の兵がそれぞれの武器を持って押し寄せる。

雫はそれを見てゆっくりと岩陰から出ていく。

「お前、ナメてんのかぁあ!!」

雫を見つけたものが、

そのゆったりとした動きに挑発されたように

襲い掛かる。

しかし、それらは皆気付かぬうちに倒れていく。