「・・・喧嘩しに来たみたい・・・」

 思いっきり野澤が不機嫌な態度に出た事で

 初めてマジで野澤を怒らせたことに気がついた。

 「お前が変なこと言うからだろ。」

 「・・・ごめん。・・・私・・・帰るね。これ食べてね 」

 「いらない。」

 「でも、せっかく持ってきたんだし」

 「いいって、言ってるだろ」

 野澤の手が差し出したサンドイッチの袋に当たって

 サンドイッチの袋が落ちてしまった。

 加奈子は黙って床におちた袋を拾った。

 「・・・」

 「ごめんね」

 加奈子は泣きそうな顔に無理に笑みを浮かべていた。
 
 加奈子はゆっくりロビーを出て行った。

 「加奈子!」

 病院のロビーを出てすぐに後ろから野澤の声がした。

 「加奈子!ちょっとまて」

 「・・・」

 「勝手に・・・帰るな」

 「だって・・・野澤クン・・・怒ってるん・・・だもの」

 「怒ってない・・・」

 「怖い顔してる」

 「元々、こんな顔なんだよ俺は」

 「・・・やっぱり怒ってるじゃない。・・・」
 
 「だったら、怒らせたまま帰るなよ。責任取れ」

 「・・・だから・・・ごめんっていってるじゃない」