加奈子は感心しつつも自分がそういう風にできるかと考える。

 だって、なんだかわざとらしい気がする。


  今日は葉月の婚約者を紹介してもらう事になっていた。彼女の婚約者がやってきた。

 葉月の好みのタイプだなっとつくづく思った。

  さわやかで優しそうな男性だった。

 二人を見ていてお似合いだと思ったし 葉月が幸せそうで 微笑ましかった。



 二人と別れてから加奈子は野澤に会いに行こうと思った。

 押しかけ彼女もいいかもしれない。彼が好きなんだし、彼に自分を好きになって

 もらいたい。ちょっとズルイ女の計算も有りかもしれない。

 加奈子はサンドイッチの美味しいと評判の店でサンドイッチを買って野澤の

 病室に向かった。
  
  思い切って 葉月に言われたように胸のボタンを一つ外してみる。


 「加奈子?」

 不意に後ろから野澤の声がした。

 「え?」

 驚いて振り向くと野澤が車いすでそこにいた。

 「なんか、今日おしゃれしてるから人違いかなと思って見てた」

 「友達と会ってたの。この服いいでしょ?」

 加奈子が笑う。

 「昨日さ・・・」

 「ん?」

 「花・・・ごめんな。」

 「え?」

 「仲間からの花だって言うからとりあえず飾ってもらわないとと、思って。」

 「私のは井川さんの所に置かせてもらっちゃった。」 

 「うん。」

 「仕方ないわよ。美人の副担任がお見舞いに来てくれて舞い上がってたもんね?」

 「なんだよ、それ」

 野澤は急に不機嫌そうな顔になった。図星なのか???

 「怒んなくってもいいじゃない」

 「別に怒ってない」

 「ムキになってるってことは、図星なんだ?」

 「なってない」