「いい人になろうなんてしなくっていいんだよ。ありのままの気持ちを受け止めて

 くれる人を探さないと幸せになれないよ。」

 「だって・・・」

 「そのくらいのジェラシーなんてみんなある事よ。で、さ、その野澤クンの所には

 今日は行かないの?」

 「行かない・・・」

 「何で?」

 「彼女でもないのに毎日通うのも変じゃない。」

 「押しかけ彼女になったらいいじゃん。」 

 「嫌よ・・・」
 
 「私なら攻めるけどな」

 「攻めるってなによ?」

 「相手に自分を惚れさせるのよ。」

 「葉月はきれいだから自信あるんでしょうけど、私は無理。自信ない。」

 「加奈子さ、ちょっと童顔だけど男ウケする顔だと思うんだよね。

  だけどさ、いかにも堅物って態度だから損してるのよ。今日だってこのブラウス」

 「え?このブラウス・・・が、何?」

 「もう一個ボタン外せば?」

 「え?なんで?見えちゃうよ。」

 「胸の谷間チラチラしてる位がちょうど良いのよ。」

 「え?」

 「髪の毛だってさ、まとめてないではずしていけばいいのに」

 「え?」

 「仕事中じゃないんだし、髪の毛書き上げる仕草とか、少しスカートの丈短めにすると、歩

き方とか意識するでしょ?みんな自分をどう見せようか計算してるわよ。

堕としたい男に会うときの服装とか、化粧とかあの手この手考えてる。」

 「そ、そうなの?」

 「ま、私もいろいろ努力してやっと婚約までたどり着いたんだもの。」