さっき花屋の前で

野澤が病室で少しでも明るい気持ちになればいいなと選んだ花。こんなにも早く

お役ごめんになるとは・・・

枯らすとかわいそう・・・

加奈子は売店で空いたペットボトルをもらって簡易の花瓶を作って

自分の持ってきた花を活けた。 

 その後、花瓶に我が物顔で収まった高津の花束を野澤の

サイドボードに飾り、

「井川さん、こんなんで申し訳ないですけど、よかったら」

と、自分の買った花を井川に持って行った。

「良いんですか?感激だなー。ありがとうございます。」

井川は素直に喜んでくれた。
 
 「・・・じゃあ、私帰るね。」

 「そっか?」

引き留める様子もない野澤にイラっときた。

 「あ、私もかえりますから、気を遣わずに・・・」

高津が席を立った。

すると更にイラっとしたので聞こえないふりして

加奈子は病室を出た。

高津さんはなんにも悪くないのに  勝手にジェラシーでいらいらしてる

嫌な自分。


 TVを付けて ベッドに横になりながら見ているが頭の中は空っぽだった

なんだか 今日の私って嫌な私・・・・自己嫌悪・・・
 
  

 翌日土曜は友達とランチの約束をしていたので出かける


 「どうしたの?加奈子元気ないね。」

 「そんなことないよ。」

 「また、希につきまとわれたの?」

 唯一何でも相談できる同期入社で親友の葉月は加奈子の様子がおかしいことに

 すぐに気がついた。

 加奈子は葉月にこれまでの事を話した。

 「ジェラシーってやつか・・・」

 「なんだか私って嫌な女よね。つきあってもないのに」

 「いいんじゃない。」

 「え?」

 「加奈子はいっつもいい人になりすぎるのよ。今の加奈子、

 素直でかわいいと思うよ私は。」

 葉月は加奈子に優しいまなざしを向けている。