そして、年が明け、2月。
外は雪が降っていた。
今日は、もっとも雪が降るらしい。
そのなか、俺は荷物を詰めていた。

俺は、1月に蔵重と逢うと約束した。
逢おうと言い出したのは、俺からだ。
今でも不思議に思う。俺は、すぐに初対面の人と話せるような勇気も自信がない。
けど、なぜか蔵重に逢いたがっていた。
蔵重も悩んだ末、逢う事を決めてくれた。

蔵重は東京に住んでいるから、俺の所まで来るのは女の子には難しい、遠い距離だ。
だから、俺が東京より少し遠い場所を選んだ。
俺は蔵重を連れて、プラネタリウムを見ようと思った。
俺は遠いとこに住んでいるから、長い時間逢ってはいられない。
だから、せっかくの時間を2人が好きなものを見れるものを選んだ。

俺は、荷物を詰めると、母さんに駅まで車に乗せてもらった。
駅に着き、車から出ようとすると、
「郁弥、ついにあなたにも彼女ができたのね。」
と面白がって言った。
「ち、違ぇよ。そんなんじゃないよ。じゃ、行ってくる。」
俺は車のドアを閉め、ホームに向かった。

電車を4駅先まで乗り、俺は新幹線に乗り換えた。

外は、朝日も徐々に昇り、各駅を進むたびに雪は少し弱まっていた。
雪が弱まっていくのを見ると、自分が住んでいる町が離れていくのを感じた。

俺は、待ち合わせ駅に近づくころ、蔵重にメールをした。
けれど、すぐには返事が来なかった。
蔵重はまだ、待ち合わせ場所に来てないのだろうかと思った。


待ち合わせ駅に着いても、
待ち合わせ時間になっても、蔵重から連絡は来ない。


雪はだんだんと強く降ってきた。
けれど、蔵重は来ない。