何かの折、仕事を頼んだ。
それまではいちいち聞いてきたのに、そのとき初めて、何も聞かずに了承した。
「わかりました」
そう言って笑った顔には、今までなかった少しの自信。
それから、それを誇るような、嬉しさ。
子供みたいなやつだな、と思った。
なんていうか、童顔なのもそうだけど、雰囲気が幼い。
頼みを聞いてやると「やった!」とか言って喜ぶし。
素直なのはいいけど・・・。
まぁ、責任感とか、社会人に必要なものはあるみたいだし、いいか、と思う。
俺に迷惑がかからなけりゃ、こいつがどんだけ子供っぽかろうと関係ない。
ただ、その素直さを少しかわいらしいと思って、その頭を乱暴に撫でた。
こいつがおっさん連中にかわいがられる理由をなんとなく理解する。
妹とか娘と接してるような気分になるんだろうな。
「み、宮本さん?」
驚いた顔はするけど、抗わない。
その態度に、こんなことは日常茶飯事なのだと知る。
「・・よろしくな」
それだけ言って、離れた。
その時はなんとも思わなかったけど、それからよく頭を撫でてやるようになった。
慣れてきて、猫が喉を鳴らすときみたいに、甘えた表情をするようになったこいつに、ゾクッとしたことは、絶対に秘密。
ついでに、その頃たまたま見かけた私服姿にそそられたのも、秘密にしておこう。