「別れてるのに抱きしめるなんてまずありえんやろ!!」


そう責める修。

止めたいけど・・言葉が出ない。

雄輔だって黙って聞いてるし。

雄輔はいつもそう。

あまり自分を語らない。

クールで、そしてポーカーフェイス。


でもそんな雄輔が放送で告白するだなんて絶対ありえないこと。

本気さがすごく伝わってきてるんだ。

愛しさも感じてしまってる。

わたしが止めなきゃ・・・。


「修、もうやめ。あんたは口出しせんと麗から返事だけ聞けばええことやろ。麗も返事をはよしてやり。」


止めてくれたのは皐月だった。

ウインクして頑張れって言ってくれてる。

そうだよね、皐月は親友だから気付いてくれてるんだよね。

わたしは皐月を見て小さく頷き、修の横に動いて目を見た。


「修、放送聞いた。ありがとう。」


「いや・・あんなとこでして悪かったな。」


「ううん、ええんよ。修のことは好き・・」


その瞬間、雄輔がわたしの腕を掴んで雄輔のほうにわたしを引き寄せまた抱きしめた。


「絶対やらんで。」


見上げるとそう言って修を睨んでた。

雄輔がまた・・心の中出しとる。

いつもは鍵かけとるのに・・・。


「おまえ・・離してやれ・・。」


「修、ゴメン!!わたし・・雄輔がやっぱり好き。ほんまゴメン。」


これ以上修に惨めな思いさせたくはなかった。

報われないのにわたしを守る言葉を掛けさせたくなかった。